相続法改正④ 特別の寄与料の請求権

令和元年7月1日以降に亡くなった場合に適用があります。

特別の寄与料請求権

相続人が、亡くなった方の財産形成や療養看護に尽くし、遺産の形成に寄与した場合は、寄与分が認められ、相続人の協議や家庭裁判所の審判により法定相続分に加算する制度があります。

寄与分については詳しくはこちら>>

ところが、寄与したのが、相続人以外の人の場合は、寄与分は認められず、問題となっていました。

相続法の改正により、相続人以外の人で、亡くなった人の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)について相続人に対し、寄与料の請求が認められることとなりました。相続人との協議で額が決まらないときは家庭裁判所に申立して家庭裁判所が決めることになります。

注意すべきは、寄与料の請求は6か月以内にしないと時効消滅してしまうので、6か月以内に内容証明郵便で相続人に請求する必要があります。亡くなったことを知らなくとも、亡くなってから1年を経過するとなくなってしまいます。

また、寄与分とは異なり、寄与の態様は、療養看護その他の労務の提供に限定されており、労務の提供のみで、老人ホームの費用を立て替えたといったお金の立替は含まれません。この点は相続人に対する不当利得返還請求ということになります。

特別の寄与で、相続財産の維持増加に対する特別の貢献がある場合を言うとされています。在宅介護を行なった場合、老人ホーム等の施設に入所した場合に必要な費用分相続財産の維持増加があるので認められる可能性が高いということになります。

老人ホームに入所中にお見舞いに訪れる等財産上の効果のない精神的な援助は、特別の寄与にはあたらないとされています。

労務の提供については、亡くなった方からお金をもらっていないことが要件です。

亡くなった方以外からお金をもらっていた場合は、寄与料の算定の際に一切の事情として考慮されます。

特別寄与料の額は寄与分と同じく、遺産から遺贈の価格を控除した額が上限となっています。

遺言で特別寄与料の額を定めたり、特別寄与料を0とすることはできません。

もっとも遺言に〇〇に対し、特別寄与料として〇〇円を支払うと記載されていた場合、遺贈と解釈するか、特別寄与算定の際の一切の事情として考慮されることになります。

相続法改正トピック

① 自筆証書遺言の財産目録について

② 遺留分に関して、制度が変わります

③ 配偶者への居住用建物の贈与

④ 特別の寄与料の請求権

⑤ 遺産分割前の預貯金の取り扱い

⑥ 遺産分割を円滑に進めるための民法相続法改正

 

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>