財産を多く持つ父親を、姉が介護を目的に、他の人の訪問を拒絶しています。どう対応するのがよいのでしょうか?

相続についてのご質問

財産を多く持つ父親を、姉が介護を目的に、他の人の訪問を拒絶しています。どう対応するのがよいのでしょうか?

自分の両親を介護するといった理由で高齢者と同居している場合、別居している他の親族を完全に排斥し、判断能力が低下した高齢者の財産を思うままに処分・消費してしまう人もいます。

たとえば、認知症の症状が出始めた高齢者の通帳類の管理をし始めた同居の子が、高齢者が受け取るはずだった年金や貯蓄を、ギャンブルや借金返済等、私的に使い込んでしまうといった事例です。

このような事例は、親族ではない人が行えば、当然、犯罪に問われるべき行為です。しかし、同居の親族が行っているというだけで、刑法は、処罰しないとしているので、警察も介入することができません。

それでは、上記のような同居親族が高齢者の財産を使い込み、経済的に虐待しているような事案について、別居の親族がその存在に気付いた場合、どのような法的手段を講じることができるでしょうか。

民事上の請求

まず民事上の対応としては、親族といえども、高齢者の貯蓄等から金員を支出し、自分の物を購入してしまったりすれば、民事的には無権代理行為(113条1項)不法行為(709条)と評価される可能性があり、このような行為にあたるならば、高齢者から金銭を使い込んだ親族に対して不当利得返還請求(民法703条、704条)損害賠償請求を行い、金銭を回収できる余地があります。

高齢者本人の判断能力に衰えがない場合、高齢者本人が弁護士に依頼して、このような請求を行うことが理論的には可能ですが、他の人との接触を絶たれている高齢者が弁護士に依頼して裁判を行なうことは実際には無理です。

成年後見制度の利用

これらの民事上の請求は、あくまでも高齢者本人が請求できる権利ですから、高齢者の財産管理能力に問題があると考えられる場合には、家庭裁判所に対して後見、保佐、補助などの開始審判の申立を行い、成年後見人などをつけるという手段が考えられます。

後見開始の審判は、高齢者本人以外でも一定の範囲の親族が申し立てることができます。選任された成年後見人には高齢者(成年被後見人)の財産を管理する権限がありますので、排他的になっている親族も話し合いに応じる可能性があがるといったメリットがあります。成年後見人として、法律の専門家である弁護士を選任してもらえれば、更に効果的といえるでしょう。

ただし、成年後見審判を得るためには、高齢者本人について判断能力に問題があるとの診断や鑑定が行われることが前提になります。この診断や鑑定は、原則として本人を直接診察する必要がありますが、認知症のでている高齢者の場合、在宅介護の場合も介護保険を利用して介護サービスを受けているのが通常ですので、区役所の介護保険課に家庭裁判所調査官から照会することによって主治医が判明し、診断の協力が得られたり、介護認定の診断書を入手して、後見の判断をすることも可能となります。

 

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>