遺留分と遺留分侵害額請求について
遺留分とは?
遺留分とは、相続に際して、被相続人の財産のうち、一定の相続人に承継されるべき最低限の割合のことです。
被相続人は、原則として、遺言なり生前贈与によって、自由にその財産を承継させることができるのですが、遺留分はこれに対して一定の制限効果を持ちます。
例えば、被相続人が遺言や生前贈与で、全財産を特定の子供だけに譲るとか、愛人に譲る、というような場合に、遺留分侵害額請求を行うことができます。
遺留分は放っておいても当然にもらえる、というわけではありませんので、請求する必要があります。これを「遺留分侵害額請求」と言います。
遺留分侵害額請求をしたい時や遺留分侵害額請求をされた時は、まずは正しい遺留分の額を把握しましょう。そのうえで遺留分侵害額請求をするか・遺留分侵害額請求に対してどのように対処するのか決めていきましょう。下記が遺留分の割合を説明した図になります。
ご自身でわからない場合は当事務所にお越しいただき、一緒に計算することも可能です。
遺留分割合の例
①法定相続人が配偶者のみの場合
配偶者の遺留分は全体の相続財産の1/2です。
財産が1000万円なら500万円が遺留分になります。
② 法定相続人が配偶者と子の場合
配偶者:相続財産の1/4
子:相続財産の1/4
子が2人の場合
配偶者:相続財産の1/4
長男:相続財産の1/8 長女:相続財産の1/8 |
子が3人の場合
配偶者:相続財産の1/4
長男:相続財産の1/12 長女:相続財産の1/12 次女:相続財産の1/12 |
③ 法定相続人が配偶者と父母の場合
配偶者:相続財産の1/3
父母:相続財産の1/6
④ 法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者:相続財産の1/2
兄弟姉妹:遺留分なし
※同順位の相続人が複数いる場合は人数に応じて均等割りとなります。
遺留分の知らないと怖い落とし穴
遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害されていることを知った時、例えば、遺言書が見つかり、全く自分には相続財産を与えてもらえなかったことが分かった時などから1年以内に行う必要がありますので、注意が必要です。
また、あまりないことかもしれませんが、遺留分を侵害されていることを知らなくても、相続開始から10年経つと、請求できなくなりますので、遺留分侵害額請求をしたい場合はお早めに動かれることをお勧めしています。
当事務所では、遺留分侵害額請求を考えられている方・遺留分侵害額請求をされた方に対して、サポートを行っております。
遺留分を侵害する遺言書が発見した場合
遺留分を侵害する遺言書があっても遺留分侵害額請求権が優先します。
遺留分制度はそもそも、遺言で自分以外の人に財産が渡ること等よって、取得できる財産がなくなってしまう等した人を救済するための制度なので、制度趣旨からして当然に遺言の内容よりも優先されるのです、
また、遺留分が遺言よりも優先されるとはいえ、遺留分を侵害する遺言が無効になるわけではありません。
遺留分を侵害された人は、贈与や遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害された金額を請求することできます(これを「遺留分侵害額請求」と言います)。
つまり、遺言自体は有効であって、遺留分侵害額請求があるまでは遺言の内容に沿って遺産が承継されますし、遺留分侵害額請求があれば、遺留分侵害のお金を払わなければならないだけです。一度に払えない場合は、裁判所に申立をすれば分割払にしてもらえます。
なお、遺留分は権利なので、遺留分侵害額請求しなければならないわけではありません。
請求するかしないかは、遺留分権利者の自由です。
遺留分を侵害する遺言もそれ自体は有効なので、遺留分侵害額請求しない場合は、そのまま遺言の内容に沿って遺産が承継されます。
遺留分侵害額請求を考えられている方へ
・相続財産の大半を他の兄弟に譲るという遺言が見つかった
・父が生前に、愛人に大半の財産を贈与していた
・祖母が面倒を見てくれた施設や団体に、全財産を寄付する遺言を残していた
このような方は、相続財産を最低限受け取る権利である、遺留分の侵害を受けている可能性が高いと考えられます。
その場合、遺留分侵害額請求をしていただくことで、財産の一部を取得できる可能性があります。
遺留分侵害額請求をするには
遺留分侵害額請求をするには、実は裁判所に行かずとも、相手方(ここでは遺産を受け取る人や贈与財産を受け取る人)に内容証明郵便などで意思表示をすればこと足ります。
しかし、相手方と協議することで遺留分を取り返せる場合は少なく、応じてもらえない場合が多いです。
応じてもらえない場合は、家庭裁判所で調停を申立して、調停委員を介しての話合いとなります。その調停にも応じない場合は、生前贈与のない場合は、審判に移行し、生前贈与がある場合は、訴訟を起こすことになります。
遺留分侵害額請求をするときには、自分一人では調べて進めるのは難しいですので、弁護士に法的主張の組み立て方や協議・調停・裁判における立ち回り方についてサポートを受けることで、より最適に進めることができます。
弁護士に依頼いただき、遺留分侵害額請求をした事例
相談内容
父は家を出て愛人と暮らしていました。父死亡後、父の全財産を市に遺贈するとの遺言状が出きました。
相続人である私達はなんとかできないのでしょうか?というご相談でした。
事務所の対応
遺留分侵害額請求をし、相手方は市でのすので簡易裁判所の民事調停の申立をしました。
市としては、慰留分減殺後の持分に相当するお金がもらえればよいので、遺留分相当額の代償省を遺産の不動産を担保に銀行融資を受け、市に払って解決しました。代賞金の額について調停委員会の意見をつけて議会の調停成立について議会の承認を得ました。相続税と銀行融資の返済は、遺産の収益物件のあがりと遺産の売却代金で支払いました。
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すべき理由
遺留分侵害額請求は、ご自分で進めることも可能ですが、上記の事例のように、相続財産の調査や遺留分の算定、協議や調停の進め方などを熟知した弁護士にご依頼いただくことが、最終的には最適な解決に至る近道となります。
当事務所の弁護士は、解決事例250件以上の経験から、遺留分侵害額請求の協議や調停での法的主張の組み立て方や必要な証拠、審判(裁判)に移行することを見据えた対応を熟知しています。
自分の相続分が明らかに少ない、見知らぬ人や団体に故人の財産全てを持っていかれるのはおかしい、などのお困り事がありましたら、お早めに弁護士に相談しましょう。
遺留分侵害額請求されてしまった方へ
・生前に決めていた通り、父の遺言に沿ってすべての財産を相続したら突然ほかの相続人が遺留分侵害額請求をするといってきた
・被相続人の財産を相続した後に、他の相続人についた弁護士からそのような内容証明が届いた
もしあなたがこのような場合は、できるだけ早く弁護士にご依頼いただいたほうが良い状況です。上記のような、遺留分侵害額請求をされてしまった場合に、適切な措置をせずにいると、大きなトラブルになる可能性が高いと考えられます。
遺留分侵害額請求を適切な措置をせずにいると…
遺留分侵害額請求を適切な措置をせずにいると、下記のようなことが起こりえます。
・協議で済むはずの内容だったのに、調停や裁判にまで発展してしまい、金銭や時間、加えて精神的に消耗することになってしまう
・内容証明郵便を送るなど、遺留分侵害額請求の意思が明確だと証明できる場合、無視していても、その遺留分侵害額請求を「拒否したこと」になるため、最終的に訴訟になった場合に不利な状況になる
いずれにしても、遺留分侵害額請求を適切な措置をせずにいると、不利な状況につながってしまいます。
遺留分侵害額請求をする権利は民法上認められている権利であるため、遺留分侵害額請求をされた場合、 応じなければなりません。
しかし、遺留分侵害額請求を突然されたとき、どうすればよいかわからないかと思います。
まずは、相続に強い弁護士にご相談いただくことで、対応策を検討することができます。
遺留分侵害額請求をされてしまい、弁護士にご相談いただくことで解決した事例
相談内容
妻子ある人と同棲し、その人を最期まで看取りました。
私に全財産を遺贈するとの遺言状を書いてくれ私を遺言執行者としてくれましたので、銀行預金等の金融資産は全て私が解約して取得しました。
しかし、相続手続きを進めたところ、突然妻子から遺留分侵害額請求の内容証明が届き、家事調停の申立がなされました。
当事務所の対応
自宅は、妻に生前贈与されていましたので、遺留分の計算額から自宅の時価を差し引き、代償金を支払うことで解決しました。
遺留分侵害額請求をされてしまったらまずは弁護士にご相談を
遺留分侵害額請求をされてしまったとき、適切な措置を早めにとる必要がありますが、実際にどうすればよいかはその場合によって異なります。また、相手方に弁護士がついている場合が多く、そのままにしていると協議の場や調停に進展した場合に不利に進む可能性が高いです。
当事務所の弁護士は、解決事例250件以上の経験から、遺留分侵害額請求をされてしまった場合の、遺留分侵害額請求の協議や調停での法的主張の組み立て方や必要な証拠、審判(裁判)に移行することを見据えた対策や対応に熟知しており、最適なサポートを提供いたします。
・生前に決めていた通り、父の遺言に沿ってすべての財産を相続したら突然ほかの相続人が遺留分侵害額請求をするといってきた
・被相続人の財産を相続した後に、他の相続人についた弁護士からそのような内容証明が届いた
などの遺留分侵害額請求でお困り事がありましたら、お早めに弁護士に相談しましょう。
遺留分侵害額請求についてお困りの方は、お早めに相談いただくことで、早期の解決に導くことが可能でございます。
弁護士が最適な解決に導くサポートをさせていただきます。
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