遺産分割 共有分割、代償金の生前前払?

平成4年父死亡  長男と母は、不動産を相続、長女と二女は相続しない代わりに、長男からアパートの家賃をもらう。

令和2年母死亡  長男は、父の相続にときのアパートの家賃の支払を母の相続の前払代償金と主張する。

相談者Aさん

被相続人との関係:長女

争点:アパートの家賃が父の相続の代償金か母の相続の代償金の前払いか?

  • 弁護士へ相談にいたった背景

争点でもめたのでAさんは、公平な判断をしてもらうとため当事務所にご相談になりました。

  • 弁護士の関わり

当事務所にご相談頂き、当職が代理人として、長男と交渉しましたが、長男は代償金の前払を主張して合意に至らず、遺産分割調停の申立を家庭裁判所にすることになりました。

  • 弁護士が代理人になった結果

遺産分割調停でも長男はあくまで母の相続の代償金として主張して譲らなかったので、調停は不調となり、審判となりました。

母と長男の共有の敷地の上に父から長男が相続したアパートと、母と長男が父から相続した自宅がある複雑な遺産分割です。 

  • 審判

  母の相続分について、法定相続分3分の1の共有審判となりました。現物分割でも競売にも適さない場合家庭裁判所は共有審判として分割は共有物分割に委ねます。

  • 共有物分割訴訟

 共有物分割訴訟を提起したところ、長男は母の生前の代償金の支払は無効であるとして代償金の返還訴訟を提起してきました。

  • 和解

 長男の代償金の返還請求を2割認めて、長男が土地建物を単独相続し、長女と二女は、代償金から、既払の代償金の2割を差し引いた代償金の支払を受ける和解が成立しました。

  • コメント

  長男が、代償金にこだわり、手続を重ねた結果、時間がかかりましたが、満足のいく解決ができました。

 この事件では、不動産鑑定はせず、物件価格は査定書を基礎として合意しました。

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>