● 使途不明金、使い込み 遺産の解約金を実家の修理代や老人ホームに入所中の被相続人のために使用したとの主張し、訴訟となり、裁判所の和解案500万円で和解した事例
- 事例
Aさんの実家は、郡部の農家です。両親が農業をしていました。父が亡くなりる母が老人ホームに入ると、兄が近県に転勤となり、休みの日に実家に出入りし、みかん畑や畑を耕作しだしました。母が亡くなった後、Aさんが銀行の預金を兄に名義書き換えの書類に印鑑をつきました。兄は、500万円払うので相続を放棄してほしいと言ってきました。Aさんの調査では、預金が400万円、弟の引き出しが450万円ほどあるはずとのことで当事務所に相談にみえました。
- 受任通知
兄に弁護士から受任通知を送り、金融資産の開示を要求したところ、兄は弁護士を依頼し、兄の弁護士が通帳等の資料を開示しました。これを整理したところ、弟の使途不明金は、母が老人ホームに入所してからで320万円、遺産分が970万円であることが判明し、この半額の645万円を相手方代理人に請求したところ、大量の領収書を整理せず送付してきただけで、支払に関する返事をしないので提訴することになりました。
- 訴訟
訴訟では、兄は、お母さんのために使用したと大量の領収書を提出してきましたが、自己消費分も多く、信用できないものが多々あり、大部分を否認して争いました。
- 和解
裁判所は、500万円の和解案をだしました。当方は500万円+郡部の全不動産の弟の単独相続を提案して、管理できない不動産を弟に引き取ってもらう和解が成立しました。
- コメント
本件では、裁判所の妥当な和解案により解決できました。また、管理できない郡部の不動産を兄に引き取ってもらい120%の解決ができました。なお金銭請求の事案では、満額回収しようとすると判決となり相手方が任意に払わない場合は強制執行となり、弁護士費用も必要となりますので請求額の8割程度を回収できる和解であれば和解に応じるべきです。
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この記事の執筆者
弁護士 藤井義継
専門分野
相続・離婚など家事事件経歴
昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>- 相続分譲渡で5000万円を獲得した事例
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