●遺産を一人占めしていた相続人から、法定相続分の85%を取り返す和解を成立させた事例

  • 事例

Aさんは3人兄弟の長男でしたが、就職を機に隣県に居住し、実家には、次男が長年父母と同居していました(三男も他県に居住)。母は数年前に死亡し、父も5年前に亡くなりました。最近になって、次男が病気で倒れ、次男から頼まれ長男が実家に戻り財産管理するようになったところ、次男が父の遺産を独り占めしている形跡があるとのことで、当事務所にご相談に来られました。

  • 父の遺産調査

私のほうで父の遺産を調査したところ、遺産は1億円以上あったことが判明し、次男はそのことを兄弟には隠してすべて独り占めしていたことが判明しました。

  • 訴訟

父の遺産についてまだ遺産分割を行っていないので、本来であれば遺産分割調停(あるいは審判)を申立てることになります。しかし、すでに預貯金はすべて解約されていましたので、Aさんは法定相続分の支払いを求めて次男に不当利得返還請求訴訟を提起しました。次男は、父の遺産について兄弟間ですでに自分一人が相続する遺産分割協議が成立していると主張して争いました。

  • 和解

裁判所は当方の主張を全面的に認め、遺産分割協議は成立していないという心証をもとに双方に和解勧試をしてきました。そして当方の希望を聞き、病気の次男が死亡して妻子に相続され新たな紛争が発生するリスクも考慮して、法定相続分の85%を取得する和解を成立させることにしました。

  • コメント

相続がからむ事件の解決は何年もかかることも多くありますが、本件については裁判所が当方の主張を全面的に認める心証であったため、早期の和解勧試の結果、訴訟提起から8か月でスピード解決しました。

 

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>