相続分譲渡で5000万円を獲得した事例

● 相続分譲渡で5000万円を獲得した事例
Aさんは、おばさんの葬儀を喪主として行いました。叔母さんには子がなく、相続人の兄弟が2人いましたが、2人共、葬儀や遺体の引取を拒否し、おばさんの遺体を引取葬儀をしてくれたら、Aさんの遺産をあげると言ったからです。
葬儀をしたものの、Aさんは相続人でなく、おばさんの戸籍謄本もとれませんので預金の相続手続きができません。おばさんの相続人に手紙を書いて死因贈与の確認書に署名して実印押印して印鑑証明と送ってくれるよう依頼したところ相続人の1人は、送ってくれましたが、もう1人にから返事がありませんでした。
Aさんは当職とは別の弁護士に依頼して家庭裁判所に調停の申立をしましたが、相続人の兄弟は2人共、死因贈与も相続分譲渡も否認し、調停に応じませんでした。Aさんの弁護士は、訴訟をしても敗訴するのでわずかな解決金で調停に応じるように言いましたが、Aさんは、納得できず当事務所にご相談に来られました。
● 当職が受任し、死因贈与の確認、予備的に相続分譲渡の確認の裁判を提起しました。裁判所は、死因贈与確認書を送付してこなかった相続人は、電話で言っただけで確定的な話でない(下話にすぎない)として、Aさんの請求を棄却しましたが、死因贈与確認書を書いた相続人について相続分譲渡を認め、Aさんはこの相続人の相続分である5000万円を手にすることができました。
● 負担付贈与
この事件では、死因贈与と相続分譲渡を負担付贈与として主張しました。遺体の引取や葬儀を負担としたのです。負担付贈与の場合、負担の履行後は撤回できないという最高裁判所の判決があるのです。
裁判所は死因贈与の確認書を書かなかった相続人については、電話のみなので、確定的な話でないとして相続分譲渡を認めませんでした。口頭の意思表示は2転3転することが多いからです。
●死因贈与と相続分譲渡の課税
Aさんが死因贈与の主張をしたのは子のない叔母さんから葬儀をしてくれたら遺産はあげると口頭で言われていたからです。死因贈与の場合、Aさんが相続税を払えばよいですが、相続分譲渡の場合、Aさんは贈与税をAさんに相続分を譲渡した兄弟は、相続税を払わなければならずに二重に課税されます。裁判ではこの点も考慮して和解を試みたのですが、相続人の1人和解に応じなかったのです。

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>