不動産の遺産分割をする際に注意すべきポイント

相続についてのご質問

分割する方法について

1.共有

不動産は、遺言がない場合は遺産共有(通常の共有と区別してこのような言葉を使います)。

遺産共有を遺産分割協議書で再度を共有とすると処分するときに全員の承諾が必要となります。一旦共有としてしまうと分割について協議ができない場合は、弁護士を依頼して、地方裁判所で共有物分割の手続が必要となってしまい分割しにくくなります。

2.現物分割

現物でわける分割方法です。遺産の中で不動産、預金や株式の金融商品のうち不動産を取得する相続人を決めます。

不動産を相続した相続人が自分の相続分より多くの不動産を取得し、自らお金を工面して支払う場合を代償分割といいます。

3.換価分割(売却)

不動産を共有のまま売却し、相続分で分ける方法です。法定相続分で登記する必要があります。実際に売却するので評価でもめることがなく、すっきりした分割が可能です。

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現物分割の場合は、評価で対立します。

市役所の固定資産評価は、固定資産税を決めるための額で時価ではありません。

路線価も税務署が相続税を計算する際の額で時価ではありません。国や県が発表している公示価格は時価に近いとされています。固定資産評価額は、時価の7割、路線価は時価の8割と言われています。

時価を知る簡単な方法は、不動産業者に査定を依頼することです。不動産業者は、不動産業者のみが利用できるレインズというサイトがあり、近隣の不動産の売出し価格や成約価格を簡単に調査することができ売出し物件や成約物件の価格から時価を推定して査定します。

時価について争いがあり、決着がつかない場合、不動産鑑定士による不動産鑑定となりますが、もっとも信用性があるとされる中立的な立場の裁判所が依頼してなされた不動産鑑定です。

一方当事者が依頼してなされた私的鑑定は、依頼者の希望する値段(高め、安め)を反映していることが多く、双方私的鑑定をした場合は、優劣の判定ができず、裁判所の鑑定ということになることが多いです。

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遺言・家族信託の必要性

不動産は、売却するのが一番ですが、自宅や先祖伝来物件、収益物件で相続人の一部の生活の糧になっている不動産の場合はそういうわけにはいきません。

そこで遺言や家族信託で生前対策をしておくことや、売却困難な不動産は早めに処分して換金しておくことをお勧めします。

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不動産がある場合に要求される書類

1.相続分のないことの証明書、相続放棄

遺産の全体を明らかにしないまま、1人の人が遺産を相続するために作成され、手続されるものですので、作成や手続を依頼された場合は、よく考えてする必要があります。

特に相続放棄は、被相続人の死亡後3か月以内に家庭裁判所に申立をしなければならないので、急かされて、よく考えないうちに印鑑を押してしまうことがあり、後日後悔することになります。

相続放棄について詳しくはこちら>>

2.相続税の申告書

相続税の申告も被相続人の死亡後、申告期限が、10か月以内で、未分割状態のままでは、配偶者控除、不動産について小規模宅地控除等の特例が利用できないと説明を受けて急かされ、税理士が作成した遺産を管理する相続人に有利な遺産分割協議書に署名押印させられることが多いので(一般的にこの方法で遺産分割が成立しているケースがほとんどです)、よく考えて署名押印する必要があります。

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>