遺言で死後の紛争を避けることは可能でしょうか?
Q.遺言の作成で、死後の紛争を避けることは可能でしょうか?
可能です。遺言は、遺産の分け方を決めるものだからです。
遺産の分け方は、
1 遺産を処分してお金で分ける分け方(換価分割)
2 分ける割合について法定相続分と異なる分割割合を指定する方法(相続割合の指定)
3 個々の遺産毎に相続する人を指定する分け方(相続分の指定)
がありますが、一般的なのは、2と3の併用で、不動産については、相続する人を指定し、預金等の金融資産については、分ける割合を指定することが多いです。
遺留分による制約
もっとも、遺言で分け方を決めても、それが相続人の遺留分を侵害するときは、遺留分侵害額請求がなされ紛争を招く原因となることが多いので、遺産の分け方を決める際には遺留分にも配慮する必要があります。
遺留分とは?
兄弟姉妹以外の相続人は遺留分があり、直系存続は法定相続分の3分の1、それ以外の相続人は法定相続分の半分です。
注意しなければならないことは、遺留分を計算する際に、特別受益といって、相続人が生前生計の資本として受けた贈与や遺贈を遺産に加えて遺留分を計算することです。
持ち計算される期間は、相続人でない人が贈与や遺贈を受けた場合は、相続開始前1年以内のもののみです。
相続人については、令和元年6月30日までに被相続人が亡くなった場合は、制限がなく、令和元年7月1日以降は改正民法で、共同相続人については、被相続人の死亡前10年間に限定されます。
もっとも、遺留分を侵害することを知って贈与や遺贈がなされた場合は、相続人についても、相続人以外の人についても制限がありません。知ってなされたとは、遺産が増加する見込みがないことを知っていたこととされています。
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この記事の執筆者
弁護士 藤井義継
専門分野
相続・離婚など家事事件経歴
昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績250件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。 詳しい弁護士紹介はこちら>>- 相続放棄をしても生命保険金は受け取れる?
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