遺言が作成されている場合でも、遺言作成年月日の遺言者が認知症だったかどうかが問題となることがあります。
もっとも、認知症だから即無効となるわけではなく、認知症の程度が重いか否か、遺言の内容が単純なものかそうでないかなどの諸般の事情から遺言能力の有無が問題となります。
介護記録、医療記録(カルテ)、介護保険認定調査票などの記録の開示を依頼し、場合によってはかかりつけ医師と面談して、症状を確認します。
『この遺言がどうしても親の意思とは思えないんです』
よくある遺言に関するご相談内容
父が残した「自筆証書遺言書」に「相続財産の全部を、長男に譲る」と記載されていました。内容としては、父が再婚した妻とその間の子に全財産を相続させたい。前妻との子(私)には財産を渡さない、というものでした。
自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受けなければなりません。検認をする裁判所は、お父さんが亡くなった場所を管轄する裁判所です。自筆証書遺言を発見した相続人には検認申立を義務があり、これに違反した場合は5万円以下の過料の制裁がある外、遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合は、相続欠格事由に該当し、相続権を失ってしまいますので注意が必要です。
相続できない遺言状の検認申立をするのが気が進まないのであれば、後妻やその子に遺言書を渡して、検認申立してもらえばよいです。
遺言書は、あなたの遺留分を侵害するものですので、法定相続分の半分である遺産の8分の1に相当するお金を後妻とその子に請求できますのでご安心ください。但し、
遺言書の存在を知ったときから1年以内に遺留分侵害額請求の意思表示を内容証明郵便で後妻とその子に送付しておく必要があり、弁護士に依頼するのがよいです。
母が亡くなり、自筆の遺言がでてきました。しかし遺言書を書いた当時、母は高齢で、認知症の診断は受けていなかったものの、判断能力はなかったと思われます。母の死後、何ヶ月か経ち、父から公正証書遺言があるといってコピーを渡されました。当時持病で入院してた父が、母の遺言を確認できたはずはありません。
遺言は、日付の新しいものが有効です。公正証書でも自筆でも、同じです。そうすると、自筆の遺言と公正証書の遺言の日付の新しいものが有効となります。自筆に日付がなければ無効です。しかし、自筆の遺言作成時にお母さんに判断能力がなかったのであれば、その遺言は無効となります。相続人やお母さんから遺言で財産をもらった人の全員が無効と認めれば、それで済みますが、1人でも有効と主張して自筆の遺言どおりの遺産の配分を主張する場合は、その人を相手方として遺言無効の裁判を起こさなければなりません。身内の人が高齢で判断能力がないと言っても、医学的な立証ができない場合判断能力がないと裁判所に認めてもらえるかは微妙です。認知症と言っても、程度があり、高齢でも判断能力のある人はいくらでもいるからです。高齢で判断能力のない人の場合、介護保険を利用して介護サービスを受けていることがほとんどですので、相続人であるあなたは市町村役場に介護認定記録の写しの交付を求めれば、お母さんの介護認定の際の判断能力や医師の意見書の写しがもらえますのでこの点をまず調査し、必要であればカルテ等の資料も取り寄せた上で、遺言無効の裁判をするかどうかを弁護士と検討してみるべきです。当事務所ではこのような調査も代行しています。調査料金は、16万5000円です。
亡父の遺言書を確認したところ、明らかに父の筆跡ではありませんでした。父の自筆証書遺言の検認を申し立てた、遠方に住む兄を疑っています。どうすれば良いのでしょうか。
対照用の父の筆跡を探してください。自宅にある年賀状、手紙、自宅になければ役所や金融機関に提出した健康保険や年金や預金関係の書類の筆跡の写しの交付を求めてください。明らかに異なる場合は兄に対照用の筆跡の写しを送付して遺言は無効なので、法定相続分での遺産分割を提案しましょう。兄があくまで有効と主張する場合は、遺言無効の裁判を起こさねばなりません。筆跡が似ている場合は、無効の主張を断念するか、お金をかけて筆跡鑑定をするかです。筆跡鑑定は裁判官は、それのみで無効の結論をだすわけではありませんが、お父さんがそのような遺言状を書く動機が認められない場合や古い遺言状と新しい遺言状とで内容が矛盾する場合には無効を主張するための有力な証拠となることがあります。
遺言無効主張の流れ
遺言無効を立証するには、資料の収集を行い、遺言者の状態と意思能力を把握する必要があります。収集した資料をもとに、遺言無効の主張をすべきか否か、裁判で勝訴する見込みを弁護士が分析・判断します。
当事務所では、関係する資料の収集、遺言の有効・無効の可能性の判断を事前調査として受任しております。
弁護士は、事前調査の結果を踏まえて、遺言無効を主張できるか否かをご依頼者にお伝えします。
自分の主張が認められた!
遺言が無効になった場合
遺産分割協議または
相続分の請求を行いましょう
遺言が無効になった場合、あらためて遺産の分割方法を決める必要があります。
遺言無効確認訴訟で争った後に相続人同士で遺産の分け方について協議を成立させるのは困難と思われますので、速やかに遺産分割調停を申し立てて解決を目指すのが良いでしょう。
自分の主張が認められなかった…
遺言が有効になった場合
遺留分侵害額請求
を行いましょう
遺言が有効と判断されてしまった場合は、遺留分侵害額請求を行うことになります。
ここに注意すべきのは遺留分侵害額請求権が消滅時効にかかってしまいます。その法定行使期間の1年間を過ぎてしまうと遺留分侵害額請求権は認められませんので、遺言無効確認請求訴訟と同時に、遺留分侵害額請求訴訟を提起することが必要です。
遺言の内容や作成状況に納得できないと思ったら
まずは、遺言内容の事前調査を
行いましょう
遺言が作成されている場合でも、遺言作成年月日の遺言者が認知症だったかどうかが問題となることがあります。
もっとも、認知症だから即無効となるわけではなく、認知症の程度が重いか否か、遺言の内容が単純なものかそうでないかなどの諸般の事情から遺言能力の有無が問題となります。
介護記録、医療記録(カルテ)、介護保険認定調査票などの記録の開示を依頼し、場合によってはかかりつけ医師と面談して、症状を確認します。
遺言の筆跡が本人のものとは違うということであれば、遺言作成当時の遺言者の他の筆跡を証拠として提出するなどして(筆跡鑑定書が提出されたりすることもあります)、筆跡が本人のものとは違うことを立証していく必要があります。
取得した資料を元に
遺言無効の主張をするか否かの検討※最終的に無効か否かは、訴訟手続で裁判官が判断することなので、遺言無効を主張しても認められない場合があることをご了承下さい。
遺言無効を主張し、遺言無効を認めてもらうには、多くの証拠を集める必要があります。亡くなった方が生まれてから死ぬまでの戸籍を全て取り、そこから辿って、法定相続人全員の戸籍を集めるという大変な準備が必要です。遠隔地だとさらに時間も費用もかかり、住所を調べるのだけでも一苦労です。
弁護士は、職務上の特権があって本籍を調べやすく、本籍から相続人を辿って、効率良く戸籍謄本を集めることができます。また、遺言無効確認訴訟を依頼することができます。
(自筆証書遺言の場合)
遺言検認の申立てのご依頼をお受けしています。法定相続人を調査する手続きは司法書士さんでもやっていただけますが、家庭裁判所における検認の手続きに一緒に参加することができるのは弁護士だけです。
遺言の法廷有効性、遺言の効力を争う場合、裁判のための書面作成や裁判手続きの対応等を含めて適切なアドバイスをしてくれるのが弁護士です。
万が一、遺言が有効と判断された場合に備えて、
遺留分侵害額請求も併せて遺言無効確認請求訴訟を提起する場合、訴訟のみならず、その後の遺産分割や遺留分侵害額請求が必要となります。また、遺留分侵害額請求権の時効や相続税申告の期限もありますので、できる限り、弁護士とも相談しつつ、慎重に方針を決定することがおすすめです。
事前調査は解決実績が豊富な弁護士に依頼しましょう
藤井義継法律事務所の解決実績
遺言無効を主張する案件は、相続分野の中でも難易度が高い案件です。そのため、弁護士の経験や実力によって結果が左右されてしまいます。また、発生件数自体も少ないため、取り扱い経験が全く無いという法律事務所も少なくありません。遺言の無効を争う場合は、実績豊富な弁護士に相談・依頼しましょう。
藤井義継法律事務所では、遺言無効に関する案件を多数解決してきました。以下に、その一部を掲載しています。
ご依頼者様は一人っ子であったが、父親が亡くなった後、被相続人には前妻との間に子(相手方)がいたことが判明しました。父親が作成した自筆証書遺言が3通見つかり、いずれもご依頼者様に有利な内容であった。
相手方は遺言無効確認訴訟を提起し、3通とも被相続人の筆跡ではなくご依頼者様の筆跡に似ている、3通の発見場所や発見の経緯が不自然であり、遺言書は3通とも無効であるなどと主張しました。
被相続人は、愛人と同棲し、妻が入院中も妻を見舞うこともなかったことから、長男とけんかになりました。
被相続人は、このため、自己の全遺産を市に遺贈する旨の公正証書遺言(第一遺言)を作成しました。
その後、妻が死亡し、被相続人は、愛人と挙式する一方で子らと仲なおりをしたが、二女と土地のことでもめ、長男と次女の相続分を遺留分のみとする自筆証書遺言(第二遺言)を作成し、愛人に渡しました。
被相続人死亡後、長男と二女の相続分は遺留分のみとするとしているのは第一遺言を撤回し、他の相続人の相続人分は法定相続人分とするという遺言であるというのが相続人側の主張です。
被相続人(死亡時75歳)は自殺、遺書の内容は、次女に感謝、謝罪、長女に対する言葉は全くない。自殺の2か月前に「全財産を長女に相続させる。」旨の公正証書遺言書を作成したことを判明しました。
次女が被相続人自殺の半年前まで通院した主治医は自殺時の被相続人の精神状態について妄想を伴う、軽躁状態が続き、次女に対する被害妄想の影響下で公正証書遺言が作成されたことは否定できないのと意見書を提出し、遺言無効を主張しました。
遺言の有効性調査
15万円(税込16万5000円)
※介護記録、医療記録など資料の取り寄せ請求について、請求先は3箇所超える場合1箇所つき17,600円(税込、実費別)の手数料が発生します。
※弁護士会を通じて、関係先への照会を行う場合(弁護士会照会制度を利用する場合)、1回について17,600円(税込、実費別)の手数料が発生します。
※調査に続いて相手方との交渉又は訴訟手続をご依頼になる場合、別途、交渉又は訴訟手続の着手金等を頂戴いたします。
遺言無効を主張するには、
どんな証拠が必要ですか?
自筆証書の遺言の方式違反は、遺言状のみでよいです。
公正証書の作成方式の違反は、作成方式に関する証人(公証人、証人)に遺言能力がないことです。
遺言能力の判断にあたって、医師の診断書、意見書、カルテ、認知症の検査結果(改訂長谷川式、MMSE等)脳の萎縮に関する画像等の医学的資料が必要です。介護認定を受け、介護サービスを受けている場合、相続人であるあなたは市町村役場に介護認定記録の写しの交付を求めれば、遺言者の介護認定の際の 判断能力や医師の意見書の写しがもらえ通院先の医院も判明します。
当事務所ではこのような調査も代行しています。調査料金は、16万5000円です。
遺言で遺言執行者に指定されて
いましたが、遺言無効を主張する
場合どうしたらいいですか?
遺言執行者自身が遺言を無効と考えるなら就任を拒否すればよいです。
相続人が遺言無効を主張している場合は、遺言執行をしばらく差し控え、遺言無効の訴訟の提起を促すべきです。無効を主張する相続人が遺言無効の訴訟をいつまでたっても提起しない場合は、遺言を執行するかトラブルに巻き込まれたくないなら、遺言執行者への就任を拒否し、遺言で財産を取得した人に遺言執行者選任の申立を家庭裁判所にしてもらえばよいです。
公正証書遺言の有効性を争うこと
はできますか?
できます。公証人は、弁護士や司法書士が関与した遺言書の場合、遺言者と会う前に遺言書を作成しており、わずかな時間遺言者と話すだけですし、公証人によっては、遺言内容を口授させず読み聞かせるだけの人もいますので、医学的に遺言時の遺言能力がないことを立証できれば争うことができます。前にした遺言や遺言者の日記、手紙等の資料と遺言内容がちがっており、ちがった理由を合理的に説明できないことは、遺言が妄想に支配されたものである有力な証拠となります。
遺言書作成にあたり意思能力は
どう判断される?
公証人は、遺言者と話しをして判断していますが、公証人は医師ではないので疑いのある場合は作成するという考えの方が多いです。後日裁判所で能力を判断すれば良いと考えておられるようです。
遺言能力については通常の意思能力(契約等をする能力)と同様と言われ、自己の財産を管理処分する能力で、10歳未満の幼児については意思能力がないと言われていますが、イギリスの裁判例では次のとおりと言われています。
① 遺言とその結果の性質を理解する能力
② 必ずしも詳細を要しないが、自分の財産の性質と規模を想起する能力
③ 近親者の氏名および彼らの遺贈に対する要求を想起する能力
④ 遺言者の自然な感情を曲げ、その決断に影響する病的精神状態がないこと
この基準は、大変参考になります。
遺言の有効性を争う場合でも、
遺留分請求はしないといけない
のでしょうか?
裁判で遺言が無効とされるのは自筆の場合は、遺言者に遺言を全文書く能力があり、公正証書の場合は、公証人が一応チエックしているので例外的場合と考えてよいです。裁判で遺言が無効とされるのはそれなりの証拠がある場合でも稀です。無効確認が認められなかった場合、遺留分侵害額請求をしておかないと、遺留分侵害額請求の裁判をやり直さないといけなくなり2度手間となりますので、遺留分侵害額請求は保険と考えて予備的に請求しておきましょう。裁判官は、遺言無効の裁判で遺留分侵害額請求がなされているからと言って、遺言の無効について原告に自信がないと考えず、原告代理人が遺言無効の裁判についてキチントした業務をしていると考えるのが通常です。
面談前後の消毒
手などが触れる場所については適宜アルコール消毒をして、消毒を徹底しています。
換気の実施
感染対策のため事務所の部屋を窓を開けて定期的に換気を実施しています。
スタッフのマスク
着用
面談ではお客様と対面でお話をするため、飛沫防止の観点から、スタッフは常にマスクを着用しております。
面談時の仕切りを
設置
飛沫接触防止の観点から、面談時は仕切りパネルを設置させていただいております。
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