遺産分割協議書の作成方法

 

ご家族がお亡くなりになって、相続が発生すると、遺言がない場合は故人の遺産の分け方を相続人間で取り決める「遺産分割協議」を行う必要があります。

その「遺産分割協議」で取り決めた内容をまとめて書面にしたものが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書があれば、不動産の所有権移転登記や預金の名義変更などの相続手続を行うことができます。

逆に言うと、遺産分割協議書がなければ、これらの相続手続が行えません。

しかし、実際に遺産分割協議書を作成するとなると、「遺産分割協議書の書き方がわからない!」という悩みをよくお伺いいたします。

そこで、この記事では、神戸市で相続業務を30年以上取り組んできた相続や遺産分割に詳しい弁護士が、遺産分割協議書の書き方を解説いたします。

遺産分割協議書のひな型もダウンロードできるようにご用意しておりますので、あわせてご覧いただければと思います。

(下記をクリックするとひな型がでてきます)

遺産分割協議書のひな型

 

遺産分割協議書に記載する項目

遺産分割協議書に記載すべき内容は大まかには下記の通りとなっております。

・被相続人は誰か、どこに住んでいたか

・相続人は誰か、どこに住んでいるか、関係は何か

・相続人全員が遺産分割協議で合意した内容

・誰が何をどのくらい相続したか

・後から発見された遺産をどうするか

・協議による合意が成立した年月日

・相続人全員の署名(または記名)と実印による押印

遺産分割協議書の作成方法

作成の手順

 

遺産分割協議書の作成の手順は、下記のようになっております。

1、作成する様式を決めます。

遺産分割協議書は、遺言書と異なり、手書きでもパソコンでも作成が可能です。ですので、最初は遺産分割協議書を手書きで作成するか、パソコンで作成するかを決めます。どちらについても、ひな型を参考にしていただければ、作成する様式は問いません。

2、タイトルを「遺産分割協議書」とします。

3、亡くなられた方の本籍地と住所地を記載します。

この情報は、相続人調査の際に取り寄せている戸籍事項証明書や住民票から把握できます。

4、亡くなられた方の氏名と死亡日を入れて、前書き(ひな型に書き方があります)を記載します。

5、誰がどのプラスの財産(預貯金や不動産など)を相続するのかを記載します

「1,2,3、、」と項目付けして記載していきます。この項目付けには定型はありませんので、わかるようにしておけば問題ありません。また、記載する順番に決まりはありませんが、年齢順である場合が多いです。

6、次にマイナスの財産(借金やローンなどの債務)の相続方法を記載していきます。

こちらも項目付けして記載していきます。

7、遺産分割協議が終了した後に判明した財産(後日判明した財産)の取扱いについて記載します。

遺産分割協議書に署名と実印が押されれば、基本的に遺産分割協議は終了となりますが、その後に判明した財産について、どのように取り扱うかを取り決めし、記載する項目です。

遺産分割協議が終了した後に発見された再度遺産分割協議を行う、という旨を記載する場合が多いです。

8、作成した年月日を記載します。

9、相続人全員の住所・氏名を記載し、署名と実印(認印)を押印して完成です。

遺産分割協議書の最後には、相続人全員の住所・氏名を記載し、自署の署名と実印(認印)を押印します。

※遺産分割協議書が複数枚になる場合、実印を使って割印を押して完成となります。

気を付けるポイント

ここでは、遺産分割協議書を作成する上でのポイントをまとめました。

ポイント①代償分割をする場合の記載方法

ポイント②相続人の中に未成年者や精神障がい者など、行為能力や意思能力がない人が相続人にいる場合

ポイント③不動産について記載する場合は登記事項証明書をそのまま写して記載しましょう

ポイント④預貯金、株式については口座番号まで特定できるように記載しましょう

ポイント⑤必ず、自筆のサインと実印の押印をするようにしましょう

①代償分割をする場合の記載方法

遺産分割協議の結果、不動産や非上場の株式など、分割が難しく評価額の一部を現金で代わりに支払う、代償分割を実施する場合は下記のような記載が適切となります。

(記載例)

1-1、相続人 山田 宗隆は、その取得した相続分の代償として、相続人 山田 宗義に対して、金〇〇万円を支払う。

 

②相続人の中に未成年者や精神障がい者など、行為能力や意思能力がない人が相続人にいる場合

相続人の中で、行為能力や意思能力がないとみなされる人がいる場合には、未成年者の場合は法定代理人である親権者が、成年被後見人等の場合は家庭裁判所が選任した後見人等が本人の代わりに遺産分割協議に参加し、その意思を代わりに決定することになります。

その場合、遺産分割協議書の最後の署名押印欄が通常とは異なる書式で記載する必要があります。記載方法は、相続人の氏名の後ろに法定代理人であることを明記し、親権者や後見人等の法定代理人が署名し実印で捺印を行います。

なお、未成年者の子と親が相続人の場合(配偶者が死亡した場合)は、未成年の子を親が代理して遺産分割協議することは利益相反となり、未成年者について、特別代理人の選任を家庭裁判所にするか未成年者が成人するまで遺産分割協議を待つ必要があります。

③不動産について記載する場合は登記事項証明書をそのまま写して記載しましょう

遺産分割協議書の中で、不動産の分割事項を記載することがありますが、その不動産の内容は一言一句間違えないようにするためにも、登記事項証明書の内容をそのまま記載しましょう。

なぜなら、不動産の名義変更(相続登記)の際には遺産分割協議書が必要となり、不動産の登記簿事項証明書と遺産分割協議書に記載された不動産の記載が違っていた場合、最悪不動産の名義変更ができない可能性があります。

確実な記載をするためにも、法務局で登記簿事項証明書を取り寄せておきましょう。

具体的に記載すべき部分は、下記のとおりです。

 

土地 地図番号、筆界特定、所在地、地番、地目、地積、
建物 所在地、家屋番号、種類、構造、床面積

 

※1建物がマンションの場合

遺産のうち、マンションの1室のみがある場合の書き方も、通常の土地や建物と同様に、登記事項証明書に沿った記載となります。ただし、この場合は、建物全体(一棟の建物)の記載をした後に所有している専有部分と持分である敷地権の記載をしなければならないため、表記が長くなります。

記載方法の例を以下に記載しております。

(記載例)

1棟の建物の表示

所在                 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2

構造                 鉄筋コンクリート造り5階建て

床面積 1階 160.1m2

床面積 2階 160.1m2

床面積 3階 160.1m2

床面積 4階 141.4m2

専有部分の建物の表示

家屋番号          〇〇県〇〇市〇〇3-13-2-401

種類                 居宅

構造                 鉄筋コンクリート造り1階建て

床面積             54.4m2

敷地権の表示

所在及び地番  〇〇県〇〇市〇〇3-13-2

地目                               宅地

地積                               320.51m2

敷地権の種類  所有権

敷地権の割合  1万分の321

 

※2不動産が共有持分の場合

被相続人が土地の権利のうち、3分の1のみを所有している場合(これを共有持分といいます)、遺産分割協議書にもその旨を記載する必要があります。

こちらの記載は上記のマンションほど、手間はかからず、不動産の情報の最後に「持分」の表記をするのみです。

記載の例は下記のとおりです。

所在       〇〇県〇〇市〇〇3丁目

地番       2番11

地目       宅地

地積       55.51m2

持分       三分の一

 

④預貯金、株式については口座番号まで特定できるように記載しましょう

預貯金や株式については、金融機関名はもちろん、支店名、普通・定期などの種別、口座番号を特定できるように記載しましょう。(ひな型には銀行の普通預金の場合と定期預金の場合を記載しております)

※退職金や生命保険金は、あらかじめ契約時に受取人が定められており、遺産分割協議の対象外となっているため、遺産分割協議書に記載する必要はありません。

⑤必ず、自筆のサインと実印の押印をするようにしましょう

遺産分割協議書には、後日のトラブルを避けるためにも相続人全員が自筆でサインをすることが望まれます。また押印は、必ず実印で押印しましょう。その際には印鑑証明書もセットで必要となります。提出先によっては、自筆の署名・実印の押印ではないと受理してくれない場合がありますので、必ず確認しましょう。

遺産分割や遺産分割協議書の作成でお困りの際は弁護士に相談しましょう

遺産分割協議書の無料相談

・遺産分割協議の際に、家族や親せきみんなが納得いくように遺産を分けたいが、関係性のよくない相続人(兄弟や親族)がいる

・遺産分割をしたいが、被相続人(亡くなった父や母)が認知していた婚外子がおり、相続分の分配を求めている

・遺産分割協議書の作成を自分で進める余裕がないので専門家にお願いしたい

・遠方に親戚がいる、自分の仕事が忙しいなど、遺産分割を自力で進めるのが難しく、遺産分割協議書の作成から送付までお任せしたい

 

上記のようなことをお考えの方は、ぜひ一度神戸の相続に強い弁護士に相談しましょう。

遺産分割協議書は相続人全員の合意がないと成立せず、遺産を分けることができません。

その場合、例えば預金の引き下ろしができなくなったり、不動産の名義変更ができなくなったりと、相続人の方々がお困りになることがとても多いです。早期に遺産を全員が納得できるように分配するために、トラブルや意見の相違が発生すると考えられる場合は、一度弁護士にご相談ください。相続人の方々が得られる適切な相続財産額や、方法をお伝えすることができます。

 

遺産分割協議書の作成は細かなことまで気を遣って作成することになります。

当事務所にご相談いただき、やっとの思いで遺産分割協議をまとめたものの、そのあとの遺産分割協議書の作成でさらに大変な思いをされる方を多く見かけております。

また、その遺産分割協議書の内容に不備が見つかり、再度遺産分割協議をすることになった事例や、場合によっては遺産分割協議書によって相続争いが発生してしまった事例もございます。

そこで、当事務所では、遺産分割協議の交渉サポートに限らず、遺産分割協議書案の作成、遺産分割協議書の作成代行をお受けしております。

神戸で遺産分割や遺産分割協議書の作成などでお困りでしたら当事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

弁護士 藤井義継

専門分野

相続・離婚など家事事件

経歴

昭和63年に弁護士登録後、神戸市の事務所勤務を経て、平成4年に藤井義継法律事務所を開設。相続、離婚、不動産トラブルなど、家事・民事事件を多く取り扱う。 弁護士会の活動として、神戸地方裁判所鑑定委員や神戸地方法務局筆界調査委員を経験。平成16年には兵庫県弁護士会副会長も経験している。 弁護士歴30年以上、相続問題解決実績100件以上の豊富な実績があり、相続問題の早期解決を得意としている。